「自分の麻疹」で感じた恐怖と教訓

参考:m3.com編集部2018年5月2日 (水)配信

「自分の麻疹」で感じた恐怖と教訓

知人の罹患経験から

沖縄県での輸入例を発端に、県外でも患者発生が拡大しつつある麻疹。日本環境感染学会や厚生労働省なども、大型連休で人の移動が増えることによるさらなる患者の増加が懸念されるとして、過去の罹患歴や予防接種歴のない人に予防接種を受けるよう呼びかけ始めています。そんな中、記者の知人(40歳未満の会社員、非医療従事者、沖縄県外在住)が先頃、麻疹と診断されました。幸い、入院はしなかったものの、自宅療養は1週間以上に及びました。また、診断に伴い、あることに強い不安や恐怖を感じたそうです。診断までの経緯などについて聞きました。(聞き手・まとめ:坂口 恵、m3.com編集部)

――麻疹と診断されるまでの経緯は?

 最初は普通の風邪の症状で、1週間くらいするとその症状が悪化してきたので、医療機関を受診。解熱鎮痛薬や抗生物質を処方されて帰宅しました。その後、発疹が出てきたのでアレルギーか汗疹かと思い、もう一度医療機関を受診しました。発疹は最初上半身だけと思っていましたが、気付いたら全身にありました。もしかしたら、最初から全身に出ていたのかもしれません。そのときに、大きな病院を受診するように紹介され、そこで麻疹と診断されました。

――当時の行動歴を教えて

 この時期は毎年花粉症に悩まされるので、ほぼ職場とスーパーくらいしか行かないことにしています。今年もそうでした。

――診断がついた時の状況は。どういう気持ちだったか 

 最初はもちろん麻疹と思っていなかったし、そう診断されてもいなかったので、通勤や通院のために電車に乗っていました。麻疹と診断されてからは、医師に「とにかく外出はしないように」とアドバイスされました。

 診断された時は「自分をきっかけに感染が広がったらどうしよう」と考えてしまい、ものすごく不安と恐怖を感じました。「麻疹と診断される前に外に出かけてしまいました」と話したら、医師は「おそらくあなたは過去に一度は予防接種を受けているはず。それに、日本では多くの人は麻疹にかかっているし、予防接種もしているはずだから、あまり心配し過ぎないように」と言ってくれたので、少し安心しました。自分の予防接種歴や罹患歴は覚えていませんでした。その後も、毎日麻疹に関するニュースやツイッターなどをつい検索してしまいます。「自分が感染を広げていないか」と、かなり不安になりました。

――麻疹と診断される際にどのような検査を受けたか教えて。あるいは今後の予防接種などについてアドバイスはあった?

 血液検査だけでなく、「他に合併症が起こっていないか、広めに検査しますね」と説明を受けて、脳や肺の画像を撮影しました。大きな病院を受診した際に症状を細かく聞かれ、頭痛を訴えたことも関係あるかもしれません。あと、「気管支炎が起こっている」とも言われました。他には、麻疹とは関係ない異常が見つかって「落ち着いたら、治療しては」とアドバイスされました。予防接種については、私の世代はMR(麻疹・風疹混合)ワクチンの2回目を受けていない可能性があるので、今後、近くの医療機関で受けるよう案内されました。

――他に感じたことや伝えたいことはある?

 自分の経験を振り返って一番、重大だと思ったのはニュースで注意を呼びかけるほど感染力が強い病気なのに、インフルエンザと違って意識が朦朧とするほどのつらさがないため、普段通りに生活、活動できてしまったこと。発疹を異常だと思わないと、「ありゃ! 風邪引いた上に、ブツブツも出ちゃったよ」くらいに捉え、病院にも行かず日常生活を送ってしまう人も出てくると思います。

 予防接種は自費だと高く感じます。でも、今回のように、少し長く会社を休むことになったり、「自分から他の人に感染が広がってしまったら、どうしよう」という不安や恐怖を感じたりしたくないので、落ち着いたら予防接種を受けようかなと考えています。あとは、麻疹などが流行しているニュースを出す際には、患者の数や発生地域だけでなく、発疹などの症状が出た時の医療機関の受診方法のような情報を強調してほしいと思いました。

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